AIに何かをお願いするとき、誰にお願いしているつもりですか? ただの「AI」にお願いすれば、「AIらしい」平均的な答えしか返ってきません。
しかし、「あなたは〇〇です」 と役割を与えるだけで、AIはその専門家になりきり、回答の質が劇的に向上します。 これを 役割付与(Role Prompting) と呼びます。
なぜ役割を与えると良くなるのか?
LLMは膨大なインターネット上のデータを学習しています。そこには「プロの論文」もあれば「子供の落書き」もあります。 役割を与えることは、「膨大な知識の引き出しの中から、どの引き出しを開けるか」 を指定する行為です。
「あなたはプロの編集者です」と言えば、AIは編集者に関する知識の引き出しを開け、専門用語やプロの視点を使って回答しようとします。
良い役割定義 vs 悪い役割定義
単に「プロの編集者になって」だけでは不十分です。より具体的に定義しましょう。
悪い例:
あなたは編集者です。この文章を直して。
良い例:
あなたは出版業界で20年のキャリアを持つ、ベストセラー担当の敏腕編集者です。
特にミステリー小説の構成チェックに定評があり、論理的な矛盾や伏線の未回収を厳しく指摘することに長けています。
作家の個性を尊重しつつも、読者が楽しめるエンターテインメント性を最優先に考えます。
以下のあらすじを読み、プロの視点で赤入れをしてください。
ここまで詳細に定義すると、AIは「厳しいけれど愛のあるプロの編集者」として振る舞い始めます。
使える役割の例
執筆において役立つ役割の例をいくつか紹介します。
1. 批判的な読者(デビルズ・アドボケイト)
あなたは性格の悪い、批判的な読者です。
この文章を読んで、少しでも分かりにくい点、論理が飛躍している点、つまらない点を容赦なく指摘してください。
→ 自分の文章の弱点を見つけるのに最適です。
2. ターゲット読者そのもの
あなたは30代の会社員で、最近AIについて学び始めたばかりの初心者です。
専門用語は苦手で、具体的なメリットを知りたがっています。
この記事を読んで、難しくて分からない部分を教えてください。
→ 読者視点でのフィードバックが得られます。
3. アイデアマン(壁打ち相手)
あなたは常識に囚われない、クレイジーなアイデアマンです。
実現可能性は無視して、とにかく突飛で面白いアイデアを提案するのが仕事です。
→ 行き詰まった時のブレインストーミングに。
まとめ
- AIは「何にでもなれる」。だからこそ「何者か」を指定する必要がある。
- 役割定義は具体的であればあるほど良い(経歴、性格、信念など)。
- 自分に都合の良い「最強のチーム」をAIで作ることができる。
あなた専属の編集者、校正者、アイデアマンを雇いましょう。給料はかかりません。プロンプトを書くだけです。