導入文
AIに「面白い長編小説を書いて」と一言頼んでも、うまくいかないことは既に皆さんもご存知でしょう。 複雑なタスクをこなすには、「プロンプトチェーン(Prompt Chaining)」 という技術が必要です。
これは、あるプロンプトの出力を、次のプロンプトの入力として使う 手法のこと。 思考のバトンリレーをさせることで、AIは単体では不可能な高度な成果物を生み出せます。
この記事では、長編執筆に特化したプロンプトチェーンの設計図を公開します。
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1. プロンプトチェーンとは?
料理に例えると分かりやすいです。 「カレーを作って」と頼むのではなく、
- 野菜を切る係
- 肉を炒める係
- 煮込む係
のように工程を分け、前の工程の成果物(切った野菜)を次の工程(炒める)に渡していくイメージです。
AI執筆においては、以下のようなチェーンが一般的です。
アイデア出し → 構成作成 → 各章の執筆 → 推敲・結合
2. 実践:長編小説執筆チェーン
では、実際に小説を書くためのチェーンを見てみましょう。
STEP 1: 【設定生成】プロンプト
まず、物語の核となる設定を作らせます。
以下のテーマで、物語の世界観、主要キャラクター(3名)、あらすじを作成してください。
テーマ:[AIと人間が融合した未来]
↓ 出力A(設定資料)
STEP 2: 【プロット構成】プロンプト
出力Aを入力として使い、詳細なプロットを作らせます。
以下の設定資料(出力A)を元に、全10章のプロットを作成してください。
各章で起きるイベントと、キャラクターの感情の変化を記述してください。
↓ 出力B(全章プロット)
STEP 3: 【本文執筆】プロンプト(※ここを繰り返す)
出力A(設定)と出力B(プロット)を使い、章ごとに執筆させます。
設定資料(出力A)とプロット(出力B)を元に、
「第1章」の本文を執筆してください。
描写を豊かにし、会話を多めに入れてください。
↓ 出力C-1(第1章本文)
続けて第2章を書くときは、直前の章の要約も渡すと整合性が保てます。
これまでのあらすじ:[第1章の要約]
プロット(出力B)に従い、「第2章」を執筆してください。
3. チェーンのメリット
- 論理破綻しない: 最初に全体の設計図(プロット)を作ってから書くので、話が脱線しません。
- 記憶容量(コンテキスト)の節約: 一度に全てを処理させないので、AIが前の設定を忘れにくくなります。
- 修正が容易: 「プロットだけ直す」「第3章だけ書き直す」といった部分修正が可能です。
4. 自動化への道(Python / LangChain)
このチェーンを手動でコピペして行うのも良いですが、プログラミング(Python)とライブラリ(LangChainなど)を使えば、これらを完全自動化することも可能です。
「テーマを入力してボタンを押せば、寝ている間に小説が一冊できている」 そんな未来も、技術的には既に可能です(クオリティの調整は必要ですが)。
まとめ
プロンプトチェーンは、AIを「単なるチャットボット」から「思考するシステム」へと進化させる鍵です。
面倒に感じるかもしれませんが、一度この「型」を作ってしまえば、あとはテーマを変えるだけで無限に作品を生み出せます。 ぜひ、あなただけの「執筆工場」を設計してみてください。
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