導入文
長編小説を書く人なら一度は憧れるツール、「Scrivener(スクリブナー)」。 膨大な設定資料やプロットを管理できるこの神ツールに、AIという「最強の助手」を組み合わせたらどうなるでしょうか?
答えは、「執筆速度と品質の劇的な向上」 です。
この記事では、Scrivener歴5年の私が実践している、ScrivenerとAI(ChatGPT/Claude)を連携させた最強の執筆ワークフロー を公開します。
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1. なぜ Scrivener × AI なのか?
Scrivenerの最大の強みは**「構造化」**です。 小説を「章」や「シーン」ごとのカードとして管理し、パズルのように並べ替えることができます。
一方、AI(特にChatGPT)の強みは**「アイデア出し」と「シーン描写」**です。
この2つを組み合わせることで、以下のようなメリットが生まれます。
- プロットの全体像をScrivenerで管理しながら、
- 個別のシーンをAIと一緒に書き進め、
- 設定資料をAIに読み込ませて矛盾を防ぐ。
まさに、鬼に金棒です。
2. 実践ワークフロー
では、具体的な手順を見ていきましょう。
STEP 1: Scrivenerで「箱」を作る
まず、Scrivener上で物語の構成(コルクボード)を作ります。 まだ中身は空っぽで構いません。
- 第1章:日常の崩壊
- シーン1:主人公の朝
- シーン2:謎の転校生
- シーン3:放課後の事件
- 第2章:異世界へ…
このように、書きたいシーンの「箱」を用意します。
STEP 2: AIで「あらすじ」を埋める
各シーンの「Synopsis(あらすじ)」カードをAIと一緒に埋めていきます。
プロンプト例:
以下のシーンのあらすじを、200文字程度で考えてください。
【シーン】第1章シーン2:謎の転校生
【前後の流れ】シーン1で平凡な日常を描写。シーン3で事件が起きる。
【条件】転校生は一見普通だが、どこか違和感がある描写を入れる。
AIが出したアイデアを、Scrivenerのインスペクター(右側のメモ欄)に貼り付けます。 これで、物語の骨組みが完成します。
STEP 3: Claudeで本文を執筆する
ここからが執筆です。文章力の高い Claude 4.5 Opus(またはSonnet)を使います。 Scrivenerの画面とClaudeの画面を並べて作業しましょう。
プロンプト例:
以下のあらすじを元に、小説の本文を書いてください。
【あらすじ】
[Scrivenerのあらすじをコピペ]
【キャラクター設定】
[Scrivenerのキャラクター資料をコピペ]
【文体】
三人称、ハードボイルド調。
生成された文章を、Scrivenerのエディタ画面に貼り付けます。 もちろん、そのまま使うのではなく、自分の手で修正(リライト)を加えます。
STEP 4: Scrivenerの「分割」機能で整理
AIに長文を書かせると、どうしても長くなりがちです。 Scrivenerの**「Split(分割)」機能**を使って、適切な長さでシーンを切り分けましょう。
Documents > Split > at Selection (ショートカット: Cmd + K)
これで、AIが書いた長い文章も、管理しやすい単位に分割できます。
STEP 5: 設定の矛盾チェック
執筆が進むと、設定の矛盾が出てきます。 ここでScrivenerの**「Compile(コンパイル)」機能**を使います。
これまでに書いたテキストを一つのファイルに出力し、Gemini 3 Pro(長文に強いAI)に読み込ませます。
プロンプト例:
添付の小説ファイルを読んでください。
第1章と第5章で、主人公の持ち物に関する記述に矛盾がないかチェックしてください。
Scrivenerなら、必要な章だけを選んで出力できるので、この作業が非常にスムーズです。
3. おすすめの画面配置
私はMacで作業していますが、以下のような画面配置をおすすめします。
- 左半分: Scrivener(バインダーとエディタ)
- 右半分: ブラウザ(Claude / ChatGPT)
Scrivenerの「QuickReference」パネルを使って、設定資料を常に最前面に表示させておくのも便利です。
まとめ
Scrivenerは「管理」、AIは「生成」。 役割分担を明確にすることで、執筆のストレスは激減します。
「AIに書かせると、自分の作品じゃなくなる気がする」 そう思う方もいるかもしれません。 しかし、Scrivenerという「司令塔」に座っているのはあなた自身です。 AIはあくまで、あなたの指示に従って動く優秀なスタッフに過ぎません。
Scrivener × AIで、あなたの頭の中にある壮大な物語を、最速で形にしてみませんか?
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